解答編 この病気は何でしょう? case3

この病気はなんでしょう?
tarou
tarou

お待たせしてしまいました。。。

では早速、解答です。

解答

顆粒部以外は第三層がきれいに保たれていた
顆粒部直下のEUSでは第三層を低エコー領域圧排しており、SMが考慮された

疑問空気量による変形では面として厚みを認めたが、EUSでのSM所見は顆粒部のみであり、解離があった。

疑問EUSではSMの可能性もあったものの壁伸展は良好であり、本当にSMなのか疑問を呈した。

↓  ESDを先行!! ↓

生検瘢痕と思われる小さな繊維化層を認め、明らかなSM浸潤は認めず、ULも認めなかった
EUSの所見と一致した

前医内視鏡画像

顆粒部位からしっかりと生検されている画像を認めた

前医生検の影響でSM層に線維化を認め、EUSの変化をきたした

小括①

  • 施設が変わって内視鏡がなされた場合は生検etcの影響で変化が起きている場合がある。
  • 必ず内視鏡画像を取り寄せ確認をするようにしましょう!

全体に厚みを来たしたのは何故?

第3層(SM)の中に複数個の小さな低エコー領域を認めた

腫瘍部をスキャン時にどの部位かははっきりしなかった…

検査時はアーチファクトと思っており、あまり気にしていなかった

粘膜下にびまん性の異所性胃腺を認めた

このため、弱伸展での厚みにつながったと診断された

びまん性胃粘膜下異所腺

  • 切除胃の1.1-4.0%に認める比較的稀な疾患
  • 中高年男性に多い
  • 胃底腺領域と幽門腺領域の境界部ならびにその幽門腺側に好発
  • 胃癌、特に多発胃癌が高頻度に合併するといわれる
  • 岩永らの報告によると切除胃(2574例)の4%(102例)にびまん性胃粘膜下異所腺を認め、98%に胃癌が合併し、うち33%が多発癌であったと報告している
  • 胃粘膜における反復するびらん・再生が異所性腺管を生じさせ、この影響で胃癌が発生すると推定されparacancerous lesionとされる
  • 腺管量が多かったり、嚢胞形成があると粘膜下腫瘍として観察されるが、この頻度は5.6%とされる。→ほとんどの症例は切除後偶然に発見される。
  • 異所腺が嚢胞状に拡張し、胃粘膜下嚢胞を形成した場合は深達度の診断に影響を与えるとされる。

(松田昌悟他,ESDにて一括切除を施行したびまん性胃粘膜下異所腺を伴った早期胃癌の一例,消化器内視鏡学会誌,Vol.54(3),Mar.2012:440-444)

SMT様の腫瘍で頂部の生検からtub1であり、

EUSでは多発する嚢胞を認めた。

ESDによる切除がなされ、

早期胃癌(M)と粘膜下にびまん性胃粘膜下異所腺を認めた。

診断

実際、本疾患は体中部小弯にもう1病変を認め、

同時にESDがなされ早期胃癌(M)の診断であった。

  • 今回の症例は胃粘膜下異所腺の影響で腫瘍全体の厚みを呈した可能性が考慮された(あくまで個人的な推測であるが…)
  • この程度の胃粘膜下異所腺であれば弱伸展では厚みを認め、過伸展で十分に伸びて本症例のような経過となった可能性はあるが症例集積が必要と考えられる。

小括②

  • 胃粘膜下異所腺は深達度に影響する可能性あり
  • EUSが診断の一助になる可能性がある

まとめ

  • ESD前には前医の画像を必ず取り寄せ確認する
  • びまん性胃粘膜下異所腺は深達度を深読みする原因となる可能性がある

  →EUSで第3層の多発する嚢胞が診断へのヒントとなる

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