甘く見てはいけない胃潰瘍  解答編1

胃潰瘍に隠れた癌

↓画像をレトロに見返し検討をしていきましょう

胃潰瘍

止血時の画像

一番わかりやすいかもしれません。

胃潰瘍

図の領域にある不自然な隆起を確認できましたか?

胃癌

図の領域に僅かに落ちた段差を認め(0-Ⅱc)、粘膜模様が細かくなっていることが確認できましたか?

胃癌

1ヶ月フォロー時の内視鏡画像

瘢痕の影響では説明のつかない不自然な隆起が瘢痕周囲に残存していることが確認できましたか?

胃潰瘍

インジゴカルミン散布の画像がなく、NBIもこの画像のみで詳細ははっきりしませんが、この画像だけでも瘢痕部と周囲の粘膜下層瘍様の隆起は異常であるとわかります。

胃癌

この画像の生検部では腫瘍粘膜はなく、
group1であることは明らかです

胃潰瘍に疑いを持つ

まとめ

本症例では、緊急時であったため悪性腫瘍の合併に着目できていませんでした。(もしかしたら、腫瘍が顔を出していた可能性も…) フォロー時に上皮変化を認められなかったので、施行した生検は、瘢痕中心の再生上皮のみでした。

悪性腫瘍の合併を疑うということは皆さん周知のことだと思います。(…と言いながら次回念のため解説します。)本症例のように未分化型癌の場合は特に気を付ける必要がありますね。

POINTとしては、やはり…

周囲の“厚み”や“硬さ”にある

と思います。

そして緊急時は私も止血にいっぱいいっぱいになってしまうことがありますが… 緊急時でも、悪性腫瘍による胃潰瘍ではないか? と疑うことも大切ですね。

次回は、解説の続きです。

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