甘く見てはいけない胃潰瘍  解答編3

上部内視鏡
上部内視鏡
30代 女性の症例

入院中の検査

心エコー

肺高血圧の所見を認めた
リンパ節腫大を認めたが、悪性リンパ腫としては非典型的

CTガイド下リンパ節生検

右心カテーテル検査

肺動脈吸引細胞診

細胞診の結果:低分化腺癌を認めた
CT

CT:胃内に明らかな所見なし

CT

左鎖骨下リンパ節腫大

CT

膵後面にも大きなリンパ節腫大あり

診断

肺腫瘍血栓性微小血管症(PTTM)

赤印の部位から生検が施行されました

生検病理はgroup1

その後の経過

原発不明なまま呼吸状態が悪化し 入院7日目には原発不明癌としてカルボプラチン、パクリタキセル、ベバシズマブ療法を再開。
しかし、呼吸状態は改善されず…
入院8日目にお亡くなりになりました。

病理解剖所見

粘膜構造の破壊と未分化型腺癌(印環細胞癌含む)あり

粘膜下層にも腫瘍細胞を認めるが、筋層を超えての浸潤は認めなかった

診断

生検部位を再度確認してみましょう

癌からは外れていました

診断

胃癌:
M,Post,0-Ⅱc,2.5×2㎝,por1>sig,pT1b(SM2),Ly1c,V0,INFb,pN3b
リンパ節転移:
左鎖骨上窩、腹腔動脈、膵周囲

本症例からの学び

※繰り返しになりますが…

まとめ
今回は、小さな胃の未分化型腺癌が原因で肺腫瘍血栓性微小血管症(PTTM)を発症し 急激な肺高血圧症を起こしお亡くなりになった若年女性の一例です。
本症例のような場合、小さな胃癌が命に係わる可能性も高く、気合を入れた観察が必要となります。
みなさん、この症例どのように感じましたか?
わたしはかなりゾッとしました。
この症例を学びに『当たりまえ』を忘れることなく、気合を入れていきましょう。
これも当たりまえですが…
私たちの内視鏡業務の重みを感じますね。
不定期ですが、次回もお付き合い頂けると幸いです。

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