本当は怖い胃潰瘍 解答編

進行癌

非癌性潰瘍=胃潰瘍

バリウムでの見え方を内視鏡に応用するとイメージしやすい

非癌性潰瘍(胃潰瘍)

癌性潰瘍

0-Ⅱc+Ⅲ型潰瘍(悪性サイクル)

シューマ比較

つまり…

当てはまらなければ、明らかな癌の所見や辺縁の0-Ⅱcを認めなくても癌性潰瘍の可能性を考慮し、セカンドルック時に生検が妥当

解答 症例1

セカンドルックで生検

1ヶ月後内視鏡フォローにしてしまい…
手術がdelayとなってしまった
内視鏡

セカンドルック内視鏡では止血を確認できた

内視鏡

1ヶ月後の内視鏡フォロー

白苔がなくなり、みずみずしい腫瘍粘膜が顔を出している

解答 症例2

セカンドルックで生検

PPI投与し、フォロー中に再度吐血
止血後、今度はピロリ除菌
1.5ヶ月後フォローにてようやく胃癌の診断

診断まで4ヶ月かけてしまった

クリップで止血

クリップで止血

潰瘍の形状はスムーズ・類円形
辺縁は0-Ⅱc面、明らかな腫瘍の露出は認めなかった
が、以下の所見を認めている
セカンドルック内視鏡

セカンドルック内視鏡

前回に比べ辺縁の形状はやや不正形となったものの
まだほぼ均一で類円系の印象
0-Ⅱc面も認めない
セカンドルック内視鏡

再出血止血翌日のセカンドルック

フォロー内視鏡

1.5ヶ月後の内視鏡

ようやく腫瘍が露出する状態になった

周堤はさらに目立ち
明らかな3型胃癌となった

周堤は癌性潰瘍の所見?

周堤とは

(Dr.ヤンデルの臨床に役立つ消化管病理)

良性潰瘍

良性潰瘍であっても筋板の下に炎症etcの細胞浸潤を認めることで周堤が形成される。
良性であれば周堤は均一となる。

癌性潰瘍

癌性潰瘍であれば筋板の下に癌細胞の浸潤を認める。
潰瘍量は不整であるので周堤は一般的に不整となるが、症例2のように比較的均一になることもある。
強い厚みなども参考所見となるが判断は難しい。
まとめ

胃潰瘍は悪性サイクルだけではなく、

癌性潰瘍の可能性をよく確認!

癌性潰瘍の所見

1つでも当てはまれば、癌性潰瘍の可能性を考慮し、セカンドルック時に生検が妥当!
今回の2症例いかがでしたでしょうか?
たかが胃潰瘍、されど胃潰瘍。
隠れた進行癌の発見が遅れてしまわないように、細心の注意を払っています。
この投稿がみなさんの助けに少しでもなれたら幸いです。

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